
任意整理をする場合には、弁護士や司法書士に依頼することになりますが、その際に気になるのが「どのような流れで任意整理が進むのか」、「任意整理が終わるまでどのくらいの期間がかかるのか」ということです。
任意整理の流れや期間を理解することができれば、任意整理に対する不安が解放され、安心して専門家に任意整理を依頼することができるはずです。
この記事では、任意整理の手続きの流れと任意整理にかかる期間について、わかりやすく解説します。
任意整理とは?
任意整理とは、お金を借りた業者(債権者)との話し合いを行い、以下のような合意をすることによって借金返済の負担軽減を図る債務整理の方法です。
- 利息制限法に基づく引き直し計算
- 支払方法の変更(金額、期間など)
- 支払い猶予
- 将来利息のカット
- 遅延損害金の減免
任意整理をすることによって、現在の返済状況よりも月々の返済負担が軽減されますので、無理なく分割返済を続けていくことが可能になります。
任意整理の仕組みやメリット・デメリットについては、こちらの記事で詳しく説明しています。
任意整理の手続きの流れと期間
任意整理のおおまかな流れおよび期間は以下のようになります。
- 専門家への相談・依頼
- 債権者への受任通知の送付(即日~3日程度)
- 取引履歴の開示(1~3か月程度)
- 利息制限法による引き直し計算(1~2週間程度)
- 和解案の作成(1週間程度)
- 債権者との和解交渉(2~3週間程度)
- 和解成立(即日)
- 和解内容に基づく分割返済の実施(3~5年程度)
専門家への相談・依頼
借金の返済が困難になった場合には、まずは、専門家である弁護士や司法書士に相談します。
弁護士や司法書士は、借金総額、月々の返済額、収支状況、資産内容などを踏まえて、「任意整理」、「自己破産」、「個人再生」のなかから最適な債務整理の方法を提案してくれます。
債務整理の方針および費用について納得できたら、弁護士・司法書士との間で委任契約を締結し、任意整理を依頼します。
債権者への受任通知の送付
依頼を受けた弁護士・司法書士は、債権者に対して、受任通知を送付します。受任通知は、弁護士・司法書士が正式に任意整理の依頼を受けたことを債権者に伝えるとともに、債務者のとの取引履歴の開示を求める書面になります。
受任通知の送付により、債権者から債務者への直接の取り立て行為が禁止されますので、専門家への依頼によって一時的に平穏な生活を取り戻すことができます。
債権者への受任通知の送付は、依頼の当日から3日程度で行われるのが一般的です。
取引履歴の開示
取引履歴とは、いつ、いくら借りて、返済したかが記載された記録のことをいいます。後述する利息制限法による引き直し計算をするためには、債権者との取引内容の詳細がわかる取引履歴が不可欠となりますので、取引履歴の開示も求めます。
取引履歴の開示の期間は、債権者ごとに異なってきますが、受任通知の送付から1~2か月程度で開示されます。
利息制限法による引き直し計算
債権者との取引で払い過ぎていた利息がある場合には、過払い金が発生している可能性があります。弁護士・司法書士は、利息制限法による引き直し計算を行い、過払い金の調査や正確な借金額の確定を行います。
利息制限法による引き直し計算は、債権者の数や取引期間によって変わってきますが、1~2週間程度で完了します。
和解案の作成
弁護士・司法書士は、利息制限法による引き直し計算によって確定した債務額および債務者の収支状況を踏まえて、和解案の作成を行います。和解案作成にあたっては、債務者と相談をしながら、無理のない返済計画を作成しますのでご安心ください。
和解案の作成は、1週間程度の期間がかかります。
債権者との和解交渉
和解案が完成すると弁護士・司法書士は、債権者に和解案を送付して、和解交渉を開始します。弁護士・司法書士が提示した和解案にそのまま応じてくれる債権者もあれば、債務者の収支状況に関する資料の提出を求めてきたり、返済計画の一部変更を求めてくる債権者もいますので、和解成立までにはある程度の期間を要します。
和解交渉が順調にいけば、2~3週間程度で和解が成立します。
和解成立
債権者との間で和解が成立したら、和解契約書に債権者と債務者双方が署名押印をし、和解契約書を取り交わします。
和解内容に基づく分割返済の実施
和解契約書の取り交わし後は、和解内容に基づいて分割返済を実施します。返済期間は、和解内容によって異なりますが、一般的には3~5年程度になることが多いです。
任意整理後にブラックリストから抹消されるまでの期間
任意整理をしたことはブラックリストに登録されてしまいますが、一定期間が経過すればその情報は抹消されます。
ブラックリストとは
ブラックリストとは、信用情報機関に事故情報が登録されている状態のことをいいます。日本には、以下の3つの信用情報機関があります。
- 株式会社シー・アイ・シー(CIC):主にクレジットカード会社が加盟
- 株式会社日本信用情報機構(JICC):主に消費者金融が加盟
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC):主に銀行などの金融機関が加盟
信用情報機関では、任意整理をしたことは事故情報として扱われますので、任意整理をするとブラックリストに登録されてしまいます。ブラックリストに登録されてしまうと、新規の借り入れやクレジットカードの新規申し込みなどができなくなるといったデメリットが生じます。
ブラックリストから抹消されるまでの期間は5年
ブラックリストに登録された情報は、永久に残ってしまうわけではなく、一定条件を満たした場合や一定期間が経過した場合には、削除されることになっています。
任意整理の場合には、完済したときから5年を経過することによってブラックリストから削除されます。たとえば、任意整理によって、5年間の分割払いの合意をした場合には、完済まで5年+完済後5年の10年を経過することでブラックリストから抹消してもらうことができます。抹消期間の5年は、任意整理の合意をしたときではなく、完済したときからスタートする点に注意が必要です。
任意整理をする場合の注意点
任意整理をすることによって、借金返済の負担は軽減しますが、以下の点に注意が必要です。
返済期間が5年を超えると和解成立は困難
任意整理をする場合には、3~5年の分割返済で借金の完済ができるというのがひとつの目安になります。5年を超える長期間の返済計画では、債権者からの合意が得られず、任意整理を行うことが難しいといえます。
そのため、借金総額や月々の返済可能額を踏まえて、5年以内の返済が難しいという場合には、任意整理ではなく、自己破産や個人再生を検討した方がよいかもしれません。
任意整理に応じない業者もいる
弁護士や司法書士に任意整理を依頼すれば、必ず希望通りの任意整理を実現できるというわけではありません。任意整理は、債権者との合意によって行う債務整理の方法ですので、債権者の合意がなければ任意整理を実現することができません。
現実的な返済計画であればほとんどの業者は、任意整理に応じてくれますが、一部の業者については、そもそも任意整理には応じない方針であるところもあります。このような業者は、すぐに裁判を起こしてきますので注意が必要です。
新たな借り入れはしない
任意整理を行い返済中および返済後5年間は、ブラックリストに登録されますので、新たな借金をすることは困難です。この場合でも、債務者本人ではなく家族名義での借り入れであれば、お金を借りることができますし、闇金などの高利貸しだとブラックリストに登録されていたとしてもお金を貸してくれます。
しかし、任意整理は、その時点の借金総額や返済可能額をもとにして、返済計画を立てていますので、任意整理後に新たな借り入れをして借金を増やしてしまうと返済計画が破綻するリスクがあります。新たな借り入れをしなければ生活ができない状況であれば、任意整理後であっても自己破産や個人再生といった手段を検討する必要があります。
まとめ
弁護士や司法書士に任意整理を依頼した場合には、依頼から債権者との合意までは、約6か月程度の期間がかかります。その間は、債権者への返済がストップしますので、任意整理後の返済に向けて経済的な再建を図ることが可能です。
専門家に任意整理を依頼すれば、すべての手続きを任せることができますので、精神的負担を大幅に軽減できるとともに、有利な条件で和解できる可能性が高くなります。そのため、借金の返済が難しいと感じた方は、早めに弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
