
自宅を購入する際に住宅ローンを利用している方も多いでしょう。住宅ローンの返済は、長期間に及びますので、その間に失業、病気、事故などで収入が減少してしまうと、住宅ローンが支払えなくなることがあります。住宅ローンを滞納してしまった場合には、どのようなリスクが生じるのでしょうか。また、住宅ローンの滞納を回避するには、どのような方法をとればよいのでしょうか。
この記事では、住宅ローンを滞納するリスクと滞納を回避する方法について、わかりやすく解説します。
住宅ローンを滞納するとどうなる?
住宅ローンの滞納をしてしまうと、以下のようなリスクが生じます。
競売により自宅を失う
金融機関から住宅ローンを借りる際には、土地や建物を担保にしていると思います。担保にとられた不動産には、金融機関が抵当権を設定していますので、住宅ローンの滞納が一定期間に及ぶと、抵当権の実行によって自宅が競売にかけられてしまいます。
競売手続きで自宅が買受人に落札されてしまえば、自宅の所有権を失い、自宅から立ち退かなければなりません。せっかく苦労して購入した自宅であっても、住宅ローンを滞納していると、失ってしまうリスクがあります。
競売後も住宅ローンが残ってしまうこともある
競売によって買受人が支払った代金は、担保権者である金融機関や保証会社の債務の返済に充てられます。住宅ローンの残額以上の金額で売れれば、自宅は失うものの、同時に住宅ローンもなくなります。
しかし、多くのケースでは、競売での落札金額は、住宅ローンの残額を下回りますので、競売後も住宅ローンが残ってしまいます。自宅を失い住む場所がなくなったにもかかわらず、住宅ローンの返済は続けていかなければならないのは、経済的にも精神的にも非常に苦しい状況といえるでしょう。
住宅ローンを滞納した場合の流れ
住宅ローンの滞納をしてしまった場合には、最終的に自宅が競売にかけられることになります。住宅ローンの滞納から競売までの流れは、以下のようになります。
| 滞納期間 | 滞納で起こること |
|---|---|
| 1~2か月 | 金融機関からの連絡(電話、メール) |
| 3~4か月 | 金融機関から督促状や催告書が届く |
| 5~6か月 | 金融機関から期限の利益喪失通知書が届く |
| 7~8か月 | 保証会社から代位弁済通知書が届く |
| 9~10か月 | 保証会社による競売申立て |
金融機関からの連絡(電話、メール)
住宅ローンを滞納すると、金融機関から電話やメールなどで支払いの催促の連絡がきます。
滞納期間が1~2か月程度であれば、「預貯金口座に十分な残高がないため引き落としができませんでした」など比較的柔らかな口調・文章で住宅ローンの支払いの催促が行われます。この段階であれば、すぐに入金すれば特に問題にはなりません。
金融機関から督促状や催告書が届く
滞納期間が3~4か月程度になると、金融機関から「督促状」や「催告書」などの書面が送られてきます。
督促状や催告書には、「期限までに住宅ローンの支払いがなければ、期限の利益を喪失することになります」など厳しい口調・文章で住宅ローンの支払いの催促が行われます。
金融機関から期限の利益喪失通知書が届く
滞納期間が5~6か月程度になると、金融機関から内容証明郵便で「期限の利益喪失通知書」が送られてきます。
期限の利益とは、住宅ローンの返済を一括ではなく月々の分割払いにしてもらうことをいいます。そのため、期限の利益の喪失は、住宅ローンの一括返済を求められることを意味します。分割でも返済が困難な状況ですので、金融機関から一括返済を求められたとしても、当然返済に応じることは困難でしょう。
保証会社から代位弁済通知書が届く
滞納期間が7~8か月程度になると、住宅ローンの保証会社から「代位弁済通知書」が送られてきます。
代位弁済とは、債務者の代わりに保証会社が金融機関に対して住宅ローンの返済をすることをいいます。代位弁済をすることによって、債権者は、金融機関から保証会社に代わり、自宅に設定されている抵当権も保証会社に移ります。
代位弁済がなれた場合には、債務者は、保証会社に住宅ローンの返済をしていかなければなりません。
保証会社による競売申立て
滞納期間が9~10か月になると保証会社が裁判所に競売の申立てを行います。
競売の申立てが行われると、担保不動産は、差し押さえられてしまい、最終的には買受人によって落札されます。買受人による落札後は、自宅に住む権利を失いますので、自宅から退去しなければなりません。
住宅ローンを滞納しそうな場合の対処法
住宅ローンを滞納しそうな場合には、以下のような対処法がありますので、すぐに住宅ローンを借りた金融機関に相談するようにしましょう。
返済期間の延長
住宅ローンは、35年の返済期間で借りる方が多いと思いますが、金融機関との交渉で返済期間を延ばしてもらうことができれば、住宅ローンの滞納を回避できる可能性があります。
住宅ローンの返済期間が40年に延長されれば、月々の返済額は1~3万円程度減額されます。
ただし、返済期間が延びることで、支払う利息も増えてしまいますので、支払総額が増えるというデメリットもあります。
元金据え置き返済
元金据え置き返済とは、一定期間元金の返済を猶予してもらい、利息のみの支払いを行うことをいいます。据え置き期間中は、利息の支払いだけで済みますので、収入が大幅に減ったとしても、滞納することなく住宅ローンの支払いを続けていくことが可能です。
ただし、元金据え置き返済では、住宅ローンの返済期間は延長されませんので、据え置き期間が終了後は、それまでの支払いを猶予されていた元金が上乗せされる結果、毎月の支払額が増えることになりますので注意が必要です。
ボーナス払いの見直し
住宅ローンの返済方法として、ボーナス払いを利用している方もいるかもしれません。ボーナス払いとは、ボーナス時に増額して返済する方法をいい、月々の返済額を低く抑えることができるメリットがあります。
しかし、ボーナスは、会社の業績や個人の成績によって左右されるお金ですので、場合によっては、ボーナスが減額されたり、不支給になることもあります。このような場合には、ボーナス払いの見直しを行い、ボーナス払いの減額や中止を求めていくとよいでしょう。
ボーナス払いの減額や中止によって、月々の返済額は増えてしまいますが、ボーナス月に住宅ローンの支払いを滞納する事態は回避できます。
住宅ローンの借り換え
現在借り入れをしている住宅ローンの金利が高いという場合には、今よりも低い金利で借りれる住宅ローンを利用することで、月々の返済額を抑えることができる可能性があります。
住宅ローンの借り換えをするためには、住宅ローンの審査に通らなければなりませんが、住宅ローンを滞納した状態では、返済能力がないとみなされて住宅ローンの借り換えをすることが困難になります。そのため、住宅ローンの借り換えをお考えの方は、現在の住宅ローンを滞納する前に行動する必要があります。
住宅ローンの返済が困難な場合の対処法
住宅ローンの返済が困難な場合には、以下のような対処法が考えられます。
任意売却
住宅ローンの返済が難しい場合には、自宅を維持していくことができませんので、自宅を手放すことも検討しなければなりません。
住宅ローンを滞納していると、金融機関または保証会社によって自宅が競売にかけられ、いずれは自宅を手放さなければならなくなります。しかし、競売による売却だと、市場価格の6~7割程度の金額でしか売れず、住宅ローンの残額を一括で返済することが困難なケースも少なくありません。
少しでも高い金額で自宅を売却するのであれば「任意売却」という方法を検討しましょう。任意売却とは、債権者(金融機関)の同意を得たうえで、抵当権付きの不動産を売却する方法です。抵当権付きの不動産については、住宅ローンを完済しなければ抵当権を外してもらうことができず、抵当権が残ったままの不動産では、買い手は付きません。しかし、任意売却では、金融機関との交渉によって同意が得られれば、住宅ローンの完済ができかったとしても抵当権を解除してもらうことが可能です。
自宅の任意売却をお考えの方は、経験豊富な不動産会社の協力が不可欠となりますので、不動産会社の協力を得ながら手続きを進めていくようにしましょう。
債務整理
債務整理とは、借金の返済の負担を軽減することができる方法です。債務整理には、主に、任意整理、自己破産、個人再生の3種類があり、それぞれ異なる特徴のある手続きになっています。
住宅ローンの負担を軽減したい、自宅を残したいという希望は、最適な債務整理の方法を選択することで実現することが可能です。
債務整理の3つの方法については、こちらの記事で詳しく説明しています。
まとめ
住宅ローンを滞納してしまうと、最終的に競売によって自宅を失うリスクがあります。
しかし、住宅ローンの滞納前であれば、金融機関への相談によって住宅ローンの滞納を回避できる可能性もあります。また、返済が困難な場合でも、任意売却や債務整理によって、住宅ローンの返済の負担を軽減したり、自宅を維持したまま借金の整理ができる可能性もあります。
住宅ローンの滞納後では、選択肢が狭まってしまいますので、早めに弁護士などの専門家に相談するようにしましょう。
